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米連邦大陪審も証取委もトヨタ自動車に召喚状

 ブレーキやアクセルの欠陥で大量リコールが相次ぐトヨタ自動車に対し、米国ニューヨーク州南部連邦地裁の連邦大陪審は文書の提出を求める召喚状を送付した。米国証券取引委員会(SEC)も同種の召喚状を送付したと、トヨタ自動車が2010年2月22日に明らかにした。

 連邦大陪審の召喚状は連邦検察局からの要請を受けてのもので、大量リコール問題が刑事事件となる可能性も出てきた。また、証取委の調査で投資家に不利益情報を開示しなかったことが明らかになれば、ペナルティーを科せられる可能性がある。

 トヨタ自動車にとって豊田章男社長も招致された米国議会の公聴会が正念場と位置付けられていたが、様々な組織がリコール問題を追及しようと待ち構えていることになる。ここに米国社会の奥深さがある。

 社会には不正を追及する組織が必要である。しかし、組織を動かす存在は神ならぬ人間である。組織が不正を見逃してしまうこともある。そこで1つの組織に全てを任せてしまうのではなく、複数の組織が競合しながら不正を追及する。トヨタのリコール隠し疑惑に対し、様々な組織が動いていることは米国の自浄能力の高さを示している。

 日本には公聴会の追及を議員の政治的パフォーマンスと矮小化する見方がある。しかし、たとえ動機に選挙民へのアピールという打算があったとしても、それによって不正が明らかになるならば社会にとって利益である。次々と各組織がトヨタの不正追及に動いている現状も、不正の追及者としての栄誉を求めて競争していると見ることができる。これらは個人の利己心を利用して公益を増進する優れた仕組みと評価できる。

 この点は損害賠償などを求めてトヨタを提訴した原告の人々も同じである。トヨタ車の欠陥で被った損害の回復という個人的利益が裁判の出発点であるが、裁判によって不正が明らかになることは同種被害者の救済にもつながり、公益に合致する。そのような原告をPrivate Attorney General(私設法務総裁)と位置付ける理論もある。

 これに対して、偏狭な日本社会には権力者の不正には寛大であるが、告発者の動機には過大な倫理性を要求するという倒錯した傾向がある。これでは不正の追及は進まない。現にトヨタのリコール問題への動きは鈍い。

 日本が国を挙げてトヨタを擁護しなかったことは賢明であった(「【オムニバス】遅すぎたトヨタ自動車豊田章男社長の公聴会出席決定」)。これをしたならば、日本自体がトヨタと同じ隠蔽体質であると米国民から認識され、対米輸出産業全体が打撃を受けてしまう。消費者の利益を犠牲にして企業の利益を優先させてきた日本社会が感情的なトヨタ擁護に走らなかったことは進歩である。

 しかし、トヨタの責任を追及する動きが国内で見られないことは物足りない。米国では複数の組織がトヨタの隠蔽体質を明らかにするために競争している状態である。自国企業の不正追及で米国に手柄を独占させることは恥である。日頃から「愛国心」を強調している人々こそ、このような機会に自慢の愛国心を発揮することが求められる。

テーマ : 東急リバブル東急不動産不買運動
ジャンル : 政治・経済

トヨタ自動車はリコール抑制で1億ドル節約と自賛

 トヨタ自動車は米当局との交渉でリコール費用を1億ドル節約したと自賛する文書を作成していた。トヨタが顧客の安全よりも利益を優先していたことを示す証拠となる文書であり、米国で高まるトヨタ批判の正しさが裏付けられた形である。トヨタは次から次へと問題が明らかになるという典型的な企業不祥事と同じ経過を辿っている。
 トヨタ自動車には意図せず急加速するとの苦情が多数寄せられていたが、2007年9月時点ではアクセルペダルフロアマットに引っかかることが原因として、僅か5万5000件のカムリレクサスフロアマットを回収するリコールしか実施しなかった。

 これについて「Wins for Toyota」と題する社内文書ではトヨタのワシントン事務所のロビー活動を紹介し、望ましいリコールの結果を勝ち取ったと賞賛する。具体的には当局との交渉でカムリレクサスの装備品(フロアマット)のリコールで折り合いをつけたことで、1億ドル超を節約できたとする。

 その後、2009年8月にレクサスが暴走して一家4人が死亡するという痛ましい事故が起き、ようやくトヨタ車の危険性が知れ渡るようになった。トヨタ自動車リコール対象を拡大し、アクセルペダルそのものの不具合によるリコールも行い、リコール台数は全世界で850万台以上にもなった。

 それでも急加速は未解決の問題である。新たに電子制御スロットルに異常や設計不良が存在しないか議論されている。これまでもトヨタは欠陥を隠蔽し、リコールから逃れようとしていると批判されていた。内部文書はトヨタが消極的に欠陥を隠しただけでなく、積極的に工作していることを示している。

 トヨタにとっては自動車の安全性を担保するリコール制度も取引の場でしかなかったことになる。これはメーカーによる自主的な実施というリコール制度の根本を揺るがすものである。同業他社からの「トヨタのリコール問題は自動車産業全体に悪影響を及ぼす」との指摘も納得できる(「トヨタ自動車リコール問題へのアメリカ社会の怒り」)。

 この社内文書に対するトヨタの言い訳が情けないものであった。「一つの文書から結論を導くことは不適切」とする。これは問題の社内文書に対しては何も言い訳できないために、それだけで判断するのではなく別の面で評価しろという御都合主義的な理屈である。歴史性に欠ける日本社会ならば都合の悪い事実は「誤りだった」で済まして、他の話題に転じることで誤魔化すこともできるかもしれない。

 しかし、これは国際社会では通用しない。都合の悪い事実から目を背けて「顧客の安全を最優先」と語る資格はない。前に向かって運転する場合でもバックミラーが必要なように、過去の体質を真摯に反省しなければならない。トヨタは世界でビジネスする以上、批判への釈明や責任のとり方もグローバル・スタンダードに則ったものであるべきである。(林田力記者)
東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った
(2009/07/18)
林田 力

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東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた著者(=原告)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。
裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現
個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!
裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻化を増すマンション問題の現実を明らかにする。

テーマ : 東急リバブル東急不動産不買運動
ジャンル : 政治・経済

トヨタ自動車はハイラックスでも欠陥放置

 大量リコールの対応で欠陥隠しを批判されているトヨタ自動車であるが、過去にも同種の問題が起きていた。

 トヨタ自動車が1988年から96年までに製造したハイラックスにはリレーロッドの強度が不足していた。リレーロッドはハンドルの動きを前輪に伝える装置で、リレーロッドが折れると、ハンドル操作に不具合が生じる。

 トヨタには92年以降、運転中にリレーロッドが折れるなどの苦情が多数寄せられ、96年には強度不足を認識していた。そこで96年6月以降製造の新車には強度を満たす部品を使用するようにしたが、販売済みの車には対応しなかった。

 2004年8月12日には熊本県で、93年11月製造のハイラックスサーフワゴンのリレーロッドが折れてハンドル操作が不能になり、対向車線の車と衝突して5人が重軽傷を負う事故が起きた。トヨタが「ハイラックスサーフワゴン」「ハイラックス4WD」「ハイラックスサーフ」のリコールを届けたのは、この事故の後の10月になってからであった。96年から8年間も欠陥を放置していたことになる。

 この展開は現在の大量リコール問題と同じである。プリウスブレーキ不具合では対外的には「運転者の感覚の問題」と強弁しながら、影では新規製造分のプログラムを修正していた。これでは欠陥を認識しても、最初は誤魔化し、誤魔化しきれなくなった後に仕方なくリコールしているとの疑念を払拭できない。

 ハイラックスの欠陥放置ではトヨタの品質保証部門の歴代3部長が2006年7月に業務上過失傷害容疑で書類送検された(07年7月に不起訴)。また、国土交通省はトヨタにリコール不要と判断した問題も、その後に不具合が生じてないか監視することや車両の品質に関する検討結果の共有などの業務改善を指示した。この時に本当の意味で業務改善できていれば、現在の大量リコール問題で対応が後手に回ることはなかったはずである。

 トヨタの大量リコール問題に対して、日本には「米国の企業が製造した部品の問題」「最先端のハイブリッド車に不安定な面が残ることは仕方がない」という同情論がある。しかし、ハイラックスの欠陥放置を踏まえれば、トヨタの隠蔽体質を指摘する米国社会の洞察力は健全である。

 ハイラックスの欠陥放置が判明した2004年は三菱自動車工業及びトラック・バス部門を分社化した三菱ふそうトラック・バスのリコール隠しも問題になった。しかし、トヨタと三菱自動車への風当たりは全く異なっていた。三菱自動車は激しく批判され、雪印集団食中毒事件などと共に企業不祥事の代表例と位置付けられている。

 これに対し、トヨタのハイラックス欠陥放置は事件そのものの知名度が低い。この点が今日のトヨタの危機につながっていると感じられてならない。欠陥を放置しても三菱自動車のように社会的に批判されなかったことが、トヨタの隠蔽体質を増長させたのではないか。その意味では米国のトヨタ・バッシングはトヨタにとって膿みを出し切り、企業体質を改めるチャンスである。(林田力)
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トヨタ・バッシングは普天間問題の報復か

トヨタ・バッシングは普天間問題の報復か
 急加速やブレーキが利かなくなるなどトヨタ車の欠陥に起因するアメリカ社会のトヨタ・バッシングに対し、一部には米国による普天間問題への報復ではないかとの見方が出ている。

 歴史的な政権交代を果たした鳩山連立政権は、従前の自民党政権が米国と合意した米海兵隊普天間飛行場(普天間基地)の辺野古(キャンプ・シュワブ沿岸部)移設について判断を先送りした。これに対する報復として、米国が日本の代表的企業であるトヨタ自動車をバッシングするように誘導しているとの見方である。

 私は報復説をうがった見方であると考える。鳩山政権が成立し、辺野古移設見直しが唱えられる前から米国ではトヨタ車の欠陥が問題になっていた。自動車と同じく高級財であるマンションが問題になった耐震強度偽装事件を思い出せば、トヨタ問題の過熱報道は理解できる。むしろ日本のメディアや消費者がトヨタに遠慮している方が異常である。

 マンションは自動車以上に高額で一生に一度あるかないかの買い物であり、欠陥品であった場合の一般購入者の打撃は甚大である。しかし、トヨタ車の欠陥では現実に事故が起き、何人もの死者が出ている。2009年8月28日にはサンディエゴ郊外でカリフォルニア州高速警察隊員マーク・セイラー氏の運転するレクサスが暴走し、乗員全員(4人)が即死する事件が起きた。事故直前に「アクセルが戻らない」と悲痛な訴えをした交信記録は痛ましい。死者や遺族の無念への共感力があれば、耐震強度偽装事件以上に過熱することも納得できる。

 耐震強度偽装事件は時間の経過によって風化してしまったが、それは歴史性に欠ける日本社会の短所を物語るものであり、消費者にとって不幸である。過去を水に流し、焼け野原から経済大国にしてしまう前に進むことしかできない国民性と、リメンバー・パールハーバーの国民性は異なる。米国社会がトヨタ・バッシングを継続することはアメリカの消費者の健全性を示す指標になる。

 より重要な報復説への反論はトヨタ・バッシングが日本と対立するものではないという点である。トヨタ車の欠陥が明らかになることは日本の消費者にとっても利益である。トヨタは下請け叩きや派遣切りなど日本国内で大きな問題を抱えている(「トヨタ自動車の大量リコールとコスト削減」-JanJanニュース)。賢明な日本人にとってトヨタ・バッシングは歓迎すべきことであって、日本への報復にはならない。以上の通り、報復説は説得力に欠けると考えるが、あえて普天間とトヨタ問題を結びつけて検討したい。

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ジャンル : 政治・経済

トヨタの大量リコールは日米間の政治問題にならず

 来日中の米上院外交委員会東アジア・太平洋小委員会のジム・ウェッブ委員長は2010年2月15日に日本記者クラブで記者会見した。米軍普天間飛行場移設問題が中心であったが、トヨタ自動車の大量リコール問題にも言及し、「トヨタの経営陣が協力すれば」との条件付きであったが、日米間の政治問題にはならないとの見方を示した。 
 トヨタ問題はアメリカ国内では政治問題化するだけの十分な理由がある。トヨタには不具合の報告を怠った疑いがある。アクセルペダルの不具合では車の急加速により、米国で10人以上の死者を出した。この不具合についてトヨタはリコールの1年以上前から知っていたとされる(「隠ぺい体質で道を誤ったトヨタ」ウォールストリートジャーナル日本版)。 
 また、トヨタは自社が採用した米道路交通安全局(NHTSA)元職員の働きかけによってリコールを免れたことも明らかになっている。日本国内の建設会社の天下りと同じような手法であり、米国議会としても看過できない問題である。
 一方でトヨタ問題が日米間の政治問題にならないという見方は正当である。トヨタ問題は日米政府が対立する性質の問題ではない。両国政府とも国民の安全に責任を負っている。不具合を隠す自動車メーカーを容認しない点で利害が共通する。 
 前原国交相は2月5日の閣議後会見で、トヨタ自動車の「プリウス」のブレーキ不具合について、「トヨタの対応は顧客の視点が欠如しているのではないか」と指摘した。オバマ米大統領も「国民の安全に懸念があるならば、自動車会社は迅速にしっかりと対処する責務がある」と述べた。日米両国は後手に回ったトヨタの対応を問題視する点で共通認識にある。 
 トヨタ問題が日米間の政治問題になるとしたら、日本側がアメリカ社会のトヨタ批判に対して被害妄想的な過剰反応を示した場合が考えられる。一国だけでは外交問題は起こり得ない。アメリカ社会はトヨタに対して怒るだけの理由があって怒っているが、それだけでは外交問題にならない。 
 その意味では「政治問題化しない」というウェッブ発言には単なる見通しを述べたという以上の重みがある。日本の行政機構は伝統的に消費者利益を軽視し、業界の保護者として振舞ってきた。もしトヨタ問題でも同じような振る舞いをするならば、日米の対立は決定的になる。トヨタ問題で日米が対立するか否かは日本側の対応にかかっている面が強く、日本側はウェッブ発言を真摯に受け止める必要がある。 
 冷静に考えれば日本人にはアメリカ社会のトヨタ・バッシングで嫌米感情を募らせる理由はない。トヨタは自発的にリコールした訳ではない。アメリカ社会の精力的な追及がなければ、日本のトヨタ車も不具合を抱えたままで、リコールされなかった可能性が高い。日本人はトヨタを批判するアメリカ社会に大いに感謝すべきである。(林田力記者)

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