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トヨタ自動車はリコール抑制で1億ドル節約と自賛

 トヨタ自動車は米当局との交渉でリコール費用を1億ドル節約したと自賛する文書を作成していた。トヨタが顧客の安全よりも利益を優先していたことを示す証拠となる文書であり、米国で高まるトヨタ批判の正しさが裏付けられた形である。トヨタは次から次へと問題が明らかになるという典型的な企業不祥事と同じ経過を辿っている。
 トヨタ自動車には意図せず急加速するとの苦情が多数寄せられていたが、2007年9月時点ではアクセルペダルフロアマットに引っかかることが原因として、僅か5万5000件のカムリレクサスフロアマットを回収するリコールしか実施しなかった。

 これについて「Wins for Toyota」と題する社内文書ではトヨタのワシントン事務所のロビー活動を紹介し、望ましいリコールの結果を勝ち取ったと賞賛する。具体的には当局との交渉でカムリレクサスの装備品(フロアマット)のリコールで折り合いをつけたことで、1億ドル超を節約できたとする。

 その後、2009年8月にレクサスが暴走して一家4人が死亡するという痛ましい事故が起き、ようやくトヨタ車の危険性が知れ渡るようになった。トヨタ自動車リコール対象を拡大し、アクセルペダルそのものの不具合によるリコールも行い、リコール台数は全世界で850万台以上にもなった。

 それでも急加速は未解決の問題である。新たに電子制御スロットルに異常や設計不良が存在しないか議論されている。これまでもトヨタは欠陥を隠蔽し、リコールから逃れようとしていると批判されていた。内部文書はトヨタが消極的に欠陥を隠しただけでなく、積極的に工作していることを示している。

 トヨタにとっては自動車の安全性を担保するリコール制度も取引の場でしかなかったことになる。これはメーカーによる自主的な実施というリコール制度の根本を揺るがすものである。同業他社からの「トヨタのリコール問題は自動車産業全体に悪影響を及ぼす」との指摘も納得できる(「トヨタ自動車リコール問題へのアメリカ社会の怒り」)。

 この社内文書に対するトヨタの言い訳が情けないものであった。「一つの文書から結論を導くことは不適切」とする。これは問題の社内文書に対しては何も言い訳できないために、それだけで判断するのではなく別の面で評価しろという御都合主義的な理屈である。歴史性に欠ける日本社会ならば都合の悪い事実は「誤りだった」で済まして、他の話題に転じることで誤魔化すこともできるかもしれない。

 しかし、これは国際社会では通用しない。都合の悪い事実から目を背けて「顧客の安全を最優先」と語る資格はない。前に向かって運転する場合でもバックミラーが必要なように、過去の体質を真摯に反省しなければならない。トヨタは世界でビジネスする以上、批判への釈明や責任のとり方もグローバル・スタンダードに則ったものであるべきである。(林田力記者)
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(2009/07/18)
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