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『ミュージック・ブレス・ユー!!』ポップでキュートな青春小説

林田力「『ミュージック・ブレス・ユー!!』ポップでキュートな青春小説」JanJanBlog 2010年5月20日

本書(津村記久子『ミュージック・ブレス・ユー!!』角川書店、2008年6月30日発行)は「音楽について考えることは、将来について考えることよりずっと大事」な高校3年生アザミを主人公としたポップでキュートな青春小説である。作中で登場人物が実在のバンドを評しており、エモーショナル・ハードコアなどの分野が好きな人にも薦められる。

高校3年生と言えば進路について真剣に考えなければいけない時期である。しかし、アザミはやりたいことが見付からず、考えようとする意欲も湧かない。好きな洋楽(ロック)を聴いてばかりという毎日であった。

音楽でなくても、小説だったり、漫画だったり、映画だったりと対象は様々であるが、受験勉強をしなければならないのに趣味に没頭してしまう経験は多くの人にある。やりたいことと、やらなければいけないと周囲から言われていることの乖離や、周囲から取り残されることへの焦燥感は世代を超えて共感を得られる。

一方で現代の高校生世代に特有の要素もある。インターネットや携帯電話など情報技術の発達である。本書でも音楽の趣味を共有するアザミはアメリカの少女アニーのブログを読み、英文メールでやり取りしている。

アザミの聴く洋楽は同級生では聴く人が少ないマニアックな部類に属するが、インターネットを通すことで、地域的な壁を越えて、趣味や感性を同じくする人とコミュニケーションできる。これが人間関係・交友関係の限定されていたインターネット普及以前とは大きな相違である。「今の子どもは理解できない」という類の言説を聞くことがあるが、子どもの世界はITの発達で拡大しており、昔の感覚では理解できなくて当然である。

アザミはアニーのブログでアニーの友人の溺死を知って大きな衝撃を受ける。布団を頭から被ってしまい、何をしたのか、いつ眠ったのかも覚えていないほどの衝撃であった。リアルで接している家族や友人はアザミの変貌を理解できない。子どもが理解できないと嘆くよりも、インターネットを通じて異なる世界にも生きているという点を理解することから始めるべきである。

物語の縦糸がロックならば、横糸は同級生チユキとの友情である。二人は同級生を傷つけた男子生徒に報復する。後に露見しそうになった時、アザミは最後までチユキを庇おうとした。何故、そのようなことをしたのか本人が後で考えても分からないという本能的な正義感からの行動であった。

大切なものが傷つけられたために抱く激しい憎しみ。たとえ自分が不利になったとしても、信念を貫くために戦う正義感。これはまさに青春である。記者(=林田)はマンションのだまし売り被害に遭い、売り主の東急不動産(販売代理:東急リバブル)と徹底的に争った経験がある(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。

故に純粋な正義感に基づいた真っ直ぐな怒りには共鳴するし、二人の友情が羨ましくもある。本書は無意味に浪費しているようでいて、懐かしく愛おしい、かけがえのない青春の日々を生き生きと描いた作品である。
東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った
(2009/07/18)
林田 力

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東急不動産(販売代理・東急リバブル)から不利益事実を隠して問題物件をだまし売りされた著者(=原告)が消費者契約法に基づき売買契約を取り消し、裁判(東急不動産消費者契約法違反訴訟、東京地裁平成18年8月30日判決、平成17年(ワ)3018号)で売買代金を取り戻した闘いの記録。
裁判における当事者と裁判官の緊迫するやり取りを丹念に再現
個人が不誠実な大企業を相手に闘うドラマがある!
裁判と並行して明らかになった耐震強度偽装事件の余波や欠陥施工、管理会社・東急コミュニティーの杜撰な管理にも言及し、深刻化を増すマンション問題の現実を明らかにする。
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